第37話   並継ヘラ竿の庄内竿            平成27年02月03日 

 並継のヘラ竿からの改造する庄内中通竿は、鶴岡の人にとってはすごく身近な庄内竿である。庄内竿=庄内中通竿と考えている人が少なくないからである。中通竿はそれ位身近に存在していた竿であった。鶴岡の最初のカーボン製中通竿は、並継のヘラ竿で作られた。振り出し竿に比べ細くそして長くその竿の感触がより庄内竿に近い物となるからである。それでいて、竹竿より遙かに穂先が細く強靭である。
 並継の竿の改造は穂先がソリッドタイプの為、細くて丈夫なチューブラの穂先を探さねばならない。カーボン竿が発売された当初、チューブラのタイプが少なく探すのに大分苦労したという話が伝わっている。その為グラスの細い物を探してトップに使っていた。
 並継製の中通竿は、振り出しの竿より細くて丈夫だった。その代り五本継であれば中に道糸が通したままに携帯するのでそのまま五本の束を持ち歩かねばならないと云う欠点があった。その結果一日磯場で釣りする場合、多くの長さの異なる竿を持ち歩く事が出来ないと云う欠点がある。束にするのは竹竿も同じであるが、その竹竿よりカーボンの竿の方が若干太い。と云う事は、着いた釣り場に合わせる為、常に数本の竿を持ち歩いていたが、その本数を従来より一本程度減らさねばならなかった。通常3本ほどの携帯は当たり前だったが、二本の携帯となっている。4間以上の長い竿であれば継数も増えるので、3本以上の携帯は絶対に無理となる。
 その点振り出し竿の改造であれば、竿の太さが多少太くなるものの数本の持ち歩きが可能となるのだが、振出竿は全ての竿を一本の元竿に収納すると云う事からどうしても太くならざるを得ないと云う宿命があった。それに並継の竿は、振り出し竿に比べ高価なカーボンの量が多かったから価格もそれなりに高かった。それはすなわち重いと云う事=カーボンの量となっているからである。釣りに拘りを多く持つ鶴岡の釣り人達は、高くとも並継を持つ人たちが多く、反面合理的な酒田の釣り人達は安い振り出し竿の改造に拘った。同じ庄内にありながら武士の町と商人の町の違いが、こんなところにも出ていた。